抄録
東日本大震災による海岸や港湾被害を契機に,レベル2津波に対してレジリエンスの高い津波対策技術の研究が進められている.このような巨大津波では周期が数十分間継続し,水位や流速が複雑に時間変化するため,巨大津波を一般的な実験水路で造波することは難しい.そのため,著者らは,電動式スルースゲート(以下,電動ゲート)の流量制御を用いた,新しい津波造波装置を開発している.これまでに,ゲート流量と段波波高の関係式を作成し,小型水路の実験で段波波高の制御に成功しているが,分散波の制御と複雑な津波波形の再現に課題があった.本研究では大型水路を用いて東日本大震災の津波波形を再現し,電動ゲートの開閉速度によって分散波波高の制御ができることを明らかにした.