抄録
桟橋上部工のプレキャスト化には,鋼管杭との接合部において現行基準を踏襲した剛結条件を満足しつつ,架設時の施工性を損なわない接合方法が望ましい.その一つの方法として,プレキャスト化する上部工に鋼管杭よりも径の大きな鞘管を埋設し,架設時に鞘管内へ鋼管杭を所定の長さ挿入するとともに,その間隙をグラウト等で充填する「鞘管方式」が提案されている.著者らは過去に,実物の1/6縮尺を模した逆T形模型による交番載荷実験を実施し,「鞘管方式」が「従来方式」と同等以上の接合耐力およびエネルギー吸収性能を有していることを示している.本研究では,主として「鞘管方式」の交番載荷実験について三次元の非線形有限要素解析を行い,シアキーの有無や鞘管内への鋼管杭挿入長の影響,および接合部の耐荷機構に関する考察を行ったので報告する.