抄録
桟橋は港湾構造物の中でも特に塩害に対して厳しい環境に置かれており,より適切な維持管理を行っていかなければならないが,劣化した桟橋の残存耐力や耐震性能に関する研究は少ない.また桟橋の残存耐力を評価する際には詳細定期点検診断が必要となり多大なコストや時間を要するため,特に民間事業者においては比較的簡易な耐力評価手法が求められている.
そこで本研究では,各劣化度に応じた試験体の載荷実験を行うことで各劣化度と部材の残存耐力の関係性を明らかにし,その結果を汎用の構造解析ソフトに導入する簡易な残存耐力評価手法を提案する.実桟橋を例に劣化度判定結果を構造解析モデルに反映することで,地震動により損傷が生じる範囲やその程度を比較的容易にかつ定量的に示すことができた.