2018 年 74 巻 2 号 p. I_695-I_700
ベトナム南部ロックアン河口において沿岸漂砂の下手方向への砂嘴の延伸が著しい.このため,河口右岸においては流路の移動に伴う深刻な侵食が見られる.しかし,当地ではこれまで様々な現地資料の蓄積が行われておらず,砂嘴延伸の状況・対策を論ずるための基礎資料が乏しい.そこで,1988年以降に撮影されているLandsat画像やGoogle Earth画像をもとにロックアン河口砂嘴の変動特性に関する検討を行った.その結果,砂嘴先端部は平均的に95m/年の速度で延伸し,一方,対岸の汀線位置もほぼ同じ速度で後退することから,一定の河口幅が維持されていることが分かった.また,この砂嘴移動速度に砂の移動高さを乗じることにより推定される沿岸漂砂量は,これまで数値シミュレーションにより評価された値と良好な一致を示した.