2018 年 74 巻 2 号 p. I_725-I_730
2016年4月に発生した熊本地震が白川河口干潟にもたらした地盤沈下と土砂供給量の増大は,将来の地形変動に大きな影響を及ぼしている.従来の白川河口干潟地形の長期予測と前提条件が大きく異なったため,地盤沈下を考慮し、新たな供給土砂量算定式を用いて,地震後の河川出水量や波浪も含んだ入力条件を与えて,プロセスモデルによる新たな将来予測を行った.土砂量の変化は海面上昇や地盤沈下が発生しなくとも前置層の著しい後退をもたらし,従来の予測とは異なる結果となった.海面上昇や地盤沈下を考慮するとよりその傾向が顕著になった.また,地盤沈下のみでは50年間における地形変化は小さいことが明らかとなった.