抄録
ツバル国のフォンガファレ島において,防護と利用・環境の両面の機能を高めるための礫養浜の実証事業が実施された.養浜後の海岸を良好な状態で維持するには,主な利用者かつ受益者である地域コミュニティー主導による維持管理が不可欠である.しかし,海岸保全事業の実績や知見の乏しい大洋州の島嶼国で,地域主導型の海岸管理が機能している事例はない.本研究では,地域主導型の海岸管理の実現のため,広報・環境教育活動から住民の海岸に対する意識・知識を改善するアプローチを図った.その結果,確実な意識の変化が確認されるとともに,自主的な海岸管理活動が継続的に実施され始めたことが確認された.さらに,これらの活動をより持続的に実施するための体制を提案・試行し,その有効性を確認した.