2018 年 74 巻 2 号 p. I_994-I_999
有明海湾奥に位置する佐賀県鹿島市地先・塩田川河口域では,今後,カキ礁の整備個所を増やすことが予定されている.しかしながら,カキ礁の整備(配置)位置によっては,沿岸域における河川水の沖への拡散や海水交換に影響が現れる可能性がある.そこで本研究では,干潟処理を考慮したネスティング手法による平面2次元単層モデルを開発し,モデルの妥当性を検証するとともに,現況およびカキ礁の配置シナリオに基づく計算結果の比較から,カキ礁の配置が沿岸流動に与える影響について検討した.その結果,塩田川河口右岸へのカキ礁の新たな配置は,広範囲で時間平均の流速値が低下する可能性があることを明らかにし,また,河口右岸の現カキ礁の撤去によっても流速値が低下する可能性があることを指摘した.