2019 年 75 巻 2 号 p. I_1025-I_1030
水産資源管理の一環として集魚灯漁船(以下,漁船)の動向を調べることは効率な方法の1つと考えられる.そこで本研究ではSuomi-NPP/VIIRSによる夜間光衛星画像を用いて夏季及び秋季の対馬海峡における漁船の動向を調べた.漁船は対馬東沿岸から山口県北沖へ舌状に分布する.漁船の分布と海洋モデルの50m深の流速場を比較すると,漁船は対馬東沿岸から北東へ広がる淀んだ海域及びその縁辺に多く分布する.漁船の分布と50m深の水温場の関係性はあるが,漁船の位置における水温場の最多頻度は2015年8月では19℃台,9月では22℃台及び10月では21℃台であり,漁船が位置する水温場は時期によって異なる.一方,漁船の分布と流速場の関係性を動的に示すことができるので,水温場よりも流速場を解析するほうが漁業操業できる漁場をより効率的に推定できる.