2019 年 75 巻 2 号 p. I_319-I_324
古くから波浪データから海上風を推定する手法についての検討は行われているが,取得された波浪データには,風波だけでなく,有義波周期が大きく波形勾配が小さい,うねりとみられる波も含まれている.うねりとみられる波が海上風推定の精度に影響があると示唆されている.
そこで,本研究では有義波周期が大きく波形勾配が小さい波を抜き出した.そのデータが海上風推定にどのような影響を与えているのかを調べ,海上風の推定をより高精度に行う方法について検討を行った.その結果,波形勾配が0.02以下の波が海上風推定の推定値と実測値が異なる要因であることが分かった.上記の条件の波を除外することで,海上風推定の精度が向上した.さらに,内湾では波形勾配でデータを除外し,近似曲線の傾きを1に補正することで推定値が向上した.