2019 年 75 巻 2 号 p. I_355-I_360
本研究は,防波堤が施工途中の段階で,堤幹部の一部に低天端消波工が存在するケーソンに60度強の急角度入射波が来襲した場合の波力特性を平面水理模型実験により検討したものである.その主要な結論は以下のとおりである.(1)低天端消波工による衝撃砕波圧は発生しない.一方で,1)消波工の無い上手区間からの沿い波の発達による波高増大,2)低天端消波工のブロックとケーソン壁の空隙での激しい擾乱,により直立部のほとんどの部位で合田値を超える波圧が発生する.(2)波の作用時刻は上手から下手に向けて遅れるためケーソン全体に作用するピーク波力が抑制される.(3)ケーソン前面波と背面に回り込む回折波が同様な位相となるため,押し波時にケーソン背面から押し返す力が発生し,ピーク水平波力が抑制される.