2019 年 75 巻 2 号 p. I_367-I_372
津波の流れに対する防波堤マウンド被覆ブロックのイスバッシュ数の基礎的な特性把握を目的として,水理模型実験を実施した.マウンドの法面勾配を変えた実験結果から,イスバッシュ式は傾斜角が大きくなることによる所要質量の増大を過剰に評価していることが明らかとなった.また,台形形状のマウンドにおいては上流側あるいは下流側法肩付近のブロックが構造的に弱点となること,防波堤堤頭部においてはケーソンの角付近と下流側のマウンド稜線部が被災しやすく,断面二次元の実験と比較してイスバッシュ数がやや低下することがわかった.イスバッシュ式における流速の定義に関しては,ブロック近傍の流速を用いてイスバッシュ数を評価した方がデータのまとまりが良いが,設計との整合性を優先して断面平均流速を用いるのが良いと考えられる.