2019 年 75 巻 2 号 p. I_557-I_562
著者らは,直杭式桟橋のプレキャスト化に適した杭頭接合として「鞘管方式」を提案している.「鞘管方式」とは,鋼管杭よりも直径の大きな鞘管をプレキャスト上部工に埋設し,鞘管内に鋼管杭を杭径程度挿入するとともに,その間隙を無収縮系のモルタルで充填して一体化を図る方法である.一方,桟橋には水平剛性を高めた斜杭式も広く適用されているが,「鞘管方式」を適用しようとした場合,鋼管杭の斜角によって鞘管径が大きくなるため,杭頭部の固定度が低下する懸念がある.そこで本研究では,新たに「ソケット鉄筋方式」と呼称する斜杭用の接合方法を提案し,各方式の杭頭部の固定度を確認するための正負交番載荷実験を実施した.実験の結果,従来の現場打ち上部工による杭頭接合と比べて,「鞘管方式」は概ね同程度,「ソケット鉄筋方式」はより高い水平剛性および固定度を有することを確認した.