2019 年 75 巻 2 号 p. I_551-I_556
昨今,生産性向上の観点から,桟橋などの港湾構造物においてもプレキャストコンクリートが活用されつつある.著者らは,桟橋工事におけるさらなる生産性の向上を指向し,ループ継手を応用した新規な杭頭部の接合構造を提案している.当該構法の実用化に向けて,本研究では,鉛直打継目や継手構造が部材の力学性状に及ぼす影響を確認するため,梁試験体による載荷試験を行った.その結果,鉛直打継目の有無や処理方法の違いが梁部材の曲げ,せん断耐力に及ぼす影響は小さいこと,分離型ループ継手接合と称する接合方法を用いた当該構法は,連続する1段配筋の梁と同等以上の曲げ,せん断耐力を有し,既往のコンクリート標準示方書やレオンハルトの設計式によって耐力を推定可能であることを明らかにした.