2019 年 75 巻 2 号 p. I_581-I_586
河口部から沖合まで連続した航路・泊地が存在する場合,シルトに対する波・流れによる移流拡散現象と浅海域での波による漂砂現象が混在するため,数値モデルによる予測検討は容易ではない.また東南アジアでは,季節の違いにより土砂供給,河川流量,海象条件等が大きく変化するため,長期モニタリングによる現象解明が重要である.本研究では,-14m航路の整備現場で実施された長期測量データおよび波と濁度の連続観測データを用いて,航路内の埋没状況の季節変化,場所的変化,濁度と外力との関係を明らかにした.航路内の土砂堆積は高波浪の出現頻度の高い雨季に顕著であり,航路水深の違いに関わらず増深前も増進後も同様の傾向が見られた.また,少なくとも短期間での顕著な航路内堆砂の直接的な要因は,波による影響が支配的であることが示された.