2019 年 75 巻 2 号 p. I_605-I_610
東京湾と浦賀水道を分けて西向きに伸びた富津岬は,1982年には沖合の第一海堡と砂州で繋がっていたが,近年,砂州の侵食が著しい.本研究では,富津岬先端部の侵食状況を調べるために2017年7月16日と2018年11月23日に現地調査を行った.また,既往衛星画像による汀線変化解析を行った.2004~2018年の砂州面積の変化量に,漂砂の移動高3.1mを乗じ,南側海岸からの漂砂供給が途絶えていると仮定すると,富津岬北岸での東向き沿岸漂砂量は1,160m3/yrと推定された.富津岬北岸の砂州は東京湾内に残された唯一の自然海浜であるが,その先端部から沿岸漂砂のバランスの崩れにより砂浜が消失しつつある.