2019 年 75 巻 2 号 p. I_689-I_694
沿岸分野における気候変動に伴う影響評価は,海面上昇に加えて波浪特性の変化などに対しても行われつつある.砂浜海岸においては,海面上昇に対する影響評価が行われることが多いものの,波浪特性の変化,特に砂浜に大きく影響する波向の変化の影響は検討されておらず,これらの将来変化を検討することは重要である.また,気候変動予測結果を用いて影響評価を行う場合,空間解像度が粗く予測結果をそのまま用いることが困難であったため,本研究では高解像度の再解析波浪データおよび波浪将来予測データセットを用いて波浪特性の将来変化に対する汀線変化への影響を調べた.汀線変化モデルを用いて将来変化を算出したところ,波浪特性の変化は過去の汀線変化量の15%程度であることがわかった.また,構造物設置領域で変動量が増加する可能性があることがわかった.