2019 年 75 巻 2 号 p. I_767-I_772
2011年東北地方太平洋沖地震では,沿岸部に立地する多くの石油タンクが漂流し,流出油による火災が問題視されている.津波被害を受けた石油タンクの多くは,消防法令上の1,000kl未満である「小規模タンク」に該当し,これらを対象にした津波漂流対策が急務である.著者らは,小規模タンクを対象とした津波漂流対策として,通常,風対策として実施されているタンク基部のアンカーボルトに加えて,耐久性(耐食性),施工性および引張強度に優れた炭素繊維シートによるタンク基部とRC基礎の面的固定を提案している(以下,CFRP対策).本研究では,CFRP対策を施した小規模タンクが津波来襲前の地震時に損傷しないか確認するため,20kl級実大タンクを用いた振動台実験を実施した.さらに,同タンクに津波波圧を作用させた三次元非線形FEM解析を実施し,CFRPの漂流対策効果について考察した.