土木学会論文集B3(海洋開発)
Online ISSN : 2185-4688
ISSN-L : 2185-4688
海洋開発論文集 Vol.35
津波浸水を考慮した避難経路選択に与える地形と浸水特性の影響
北村 福太郎稲津 大祐池谷 毅岡安 章夫
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2019 年 75 巻 2 号 p. I_785-I_790

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抄録

 津波に対しては適切に避難することが重要である.著者らは前報で,従来の避難所までの最短経路に比べ,津波遭遇までの猶予時間を最大とする経路選択で被災者が減ることを示した.しかしこの効果は地形が複雑な地域でのみ検証されており,十分ではない.よって本研究では,このモデルの汎用性の検証と推奨される経路の分析を行った.汎用性検証の結果,単純な地形を持つ地域でも本モデルの適用で被災者は減少できるが,その効果には程度の差があることが分かった.経路分析の結果,避難速度に比べて遡上速度がはるかに大きい地域では最短距離にある避難所か浸水範囲外への避難が有効となること.すなわち,海側への避難も否定されないということ.一方,遡上速度が大きくない地域では津波の進入方向と逆になる陸側への避難が有効となることが分かった.

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© 2019 公益社団法人 土木学会
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