2019 年 75 巻 2 号 p. I_935-I_940
波浪予報は,海上工事の作業可否を判断する上で重要な情報である.しかし,外洋に面した海域では,波高や周期などの波浪予報値に基づいて作業可否を事前決定するわけではなく,朝一番に現場海域の静穏度を視認してから当日の作業可否を決定することが少なくない.これは,波浪予報が必ずしも現場海域の波浪状況を正確に表していないと工事関係者が感覚的にとらえているからと考えられる.本研究では,沿岸波浪数値予報モデルGPV(CWM)について,海上施工での利用を目的とした精度検証のため,予報値と全国のナウファス波浪観測地点における観測値との比較を行った.検討の結果,日本海側の予報精度は高く海上施工の可否判断に適するが,太平洋側の予報精度は日本海側に比べて低く,海上施工の可否判断として適していないことがわかった.太平洋側の波高と周期のさらなる精度向上が望まれる.