2020 年 76 巻 2 号 p. I_336-I_341
愛知県西尾市東幡豆町に位置する前島トンボロ干潟は周辺に主要な土砂供給源となる河川を持たない干潟である.この干潟では,以前から季節的な地形変化と干潟最浅部の東側への移動が確認されていたが,近年ではその変化が大きく且つこれまでとは異なった変化の特徴を示すようになり,地元の漁業関係者により今後の干潟縮小・消失や環境劣化が懸念されている.対象地域は潮の満ち引きにより干出・水没を繰り返す地形であり,現地調査や解析のみではデータ取得回数やデータ量が限られるため詳細な地形変化を把握することは困難である.そこで本研究では,現地観測と数値解析を併用することで干潟上の詳細な地形変化を把握することを試みた.その結果,干潟周辺の流動場の再現は概ね可能であることが示され,数値計算からもわずか一潮汐においても,干潟内での土砂移動が確認された.