2020 年 76 巻 2 号 p. I_492-I_497
浮体式洋上風力発電の係留基礎としてサクションアンカーは,従来採用されてきたドラッグアンカーと比較して,設置精度や大水深での施工性,把駐力など技術特性に加え経済性の点で有力な選択肢となる.本研究では遠心模型実験を通して,砂質地盤中のサクションアンカーの単調および繰返し斜め上方引き抜き時におけるアンカー挙動特性について検討した.砂質地盤中のサクションアンカーの簡便な静的把駐力評価法としてDeng and Carter法に着目し,根入れ比の小さいアンカーへの拡張適用の可能性について検討したところ,同法による把駐力計算値は遠心実験における測定値を過小評価した.繰返し牽引実験では,張力振幅が大きく張力が周期的に0となる実験ケースにおいて,繰返しに伴う変位の急増が見られた.その際アンカー天板直下の水圧応答は張力変動に対し位相が反転するとともに,残留水圧の蓄積がみられた.