2020 年 76 巻 2 号 p. I_636-I_641
インフラ輸出の支援として,日本の基準・制度等のソフトインフラを開発途上国に展開することは有効な方策である.著者らは,日本の港湾基準をベトナムの事情に適合するように両国で共同編集し,ベトナムの国家港湾基準を策定する活動を継続している.現在,設計及び施工の国家基準の一部は既に発効され,維持管理基準は国家基準の発効に向けて,ベトナム国内で最終審査段階にある.
本研究では,ベトナムの維持管理に係る法体系や維持管理の実態を整理した上で,日本の維持管理基準をベースとして策定したベトナムの維持管理基準案の概要を示すとともに,その策定過程と策定にあたって重要であった内容を整理した.最後に,ベトナム維持管理基準の策定過程で得られた知見を,日本の維持管理基準を他の開発途上国に展開する際の留意点としてまとめた.