2020 年 76 巻 2 号 p. I_660-I_665
越波打上げ高の観測は越波動画をコマ送りで再生しながら最高到地点を読み取る手法が一般的であるが,荒天時は背景と波の判別が難しく,最高到達点をとらえた根拠がないうえに多大な労力を要する.本研究では,波を撮影した動画から最高到達打上げ高を自動で解析可能な手法を提案した.代表的な越波に対する解析の試みの結果,推定された打上げ高は時間に関して滑らかな放物線を描いており,越波を撮影した動画から人為的に最高到達打上げ高を読み取る従来の手法と比べて精度を落とすことなく推定できているものと考えられた.この手法であれば最高到達時刻以外の打上げ高も取得可能であるうえ,本手法を応用することで出現特性の空間分布を含めた詳細な越波打上げメカニズムの解明に資するものと考えられる.