2020 年 76 巻 2 号 p. I_678-I_683
波のうちあげ高は,海岸堤防等の天端高を検討するための指標として用いられ,高波による被害を軽減するための海岸における水防警報の発令基準としての活用も期待される.しかし,現地での観測が難しく,沖合に波浪観測施設が設置されていない箇所ではうちあげ高の推定も難しい.本検討では,安価な危機管理型水位計の一つである超音波式水位計によるうちあげ高観測の可否及び精度把握を目的とし,海岸堤防に超音波式水位計を複数台設置の上,台風期を含む長期間観測を実施し,超音波式水位計の現地適用可能性を検討した.その結果,超音波式水位計を屋外に設置した場合は,雨や風等により発生するノイズを除去する必要性が明らかになったが,本検討で提案するノイズ除去手法を用いることで一定の精度でうちあげ高の観測が可能であることが確認された.