2020 年 76 巻 2 号 p. I_792-I_797
干潟は,内湾の水質や生態系の維持に重要な役割を果たしていると指摘され,既存干潟の保全や人工干潟の造成が行われているが,その土砂動態については未解明な点が多い.その原因は,①広域的視点の欠落,②河川からの土砂供給量の精確な算定手法の欠落にある.本研究では,高精度かつ広域的な深浅測量による深浅図,著者らが開発している河川からの土砂供給量算定モデル:gRSM,沿岸域の広域土砂動態・地形変化モデル:WDM-POMを用い,河川・沿岸域を含む干潟の広域土砂動態を明らかにし,中津干潟の泥質化・侵食実態について検討した.その結果,明瞭な侵食・堆積傾向とは言えないが,山国川で水害があると泥質化することがわかった.また,河川と干潟の土砂収支算定から,侵食・堆積量予測の回帰式を得た.更に,周防灘と中津干潟の流動場の計算を行なった.