2020 年 76 巻 2 号 p. I_804-I_809
本研究では,石炭灰造粒物を覆砂材として用いた場合の間隙内への泥の捕捉効果の持続性について検討するために,同時期に同スケールの現地実験と室内実験を実施し,泥の堆積量や間隙水のイオン濃度,堆積した泥の性状変化を比較した.
実験結果より,現地実験では層内と層外の水温差が逆転する時期に石炭灰造粒物層内から泥が流出する現象を捉え,礫層内よりも泥の堆積量が少なくなっていることを明らかにした.また,石炭灰造粒物層内では現地実験,室内実験とも間隙水のカルシウムイオン濃度が高く,泥に吸着しているカルシウムイオン量も増加していた.これらの結果より,石炭灰造粒物層内において泥の堆積量が少なくなる現象は泥の性状変化に加え,沿岸域での密度逆転や潮位変動との相互作用により引き起こされている事が推察される.