2020 年 76 巻 2 号 p. I_810-I_815
これまで浚渫泥を利用した人工干潟が造成され,その有効性が示されてきたが,造成干潟が近年のアサリの生産量の低下問題の解決手段までになっているとは言えない.アサリ生産量の減少が著しい沿岸域における高いアサリ生産量を有する造成干潟の構築では,浚渫泥の新しい利用技術の開発が望まれている.アサリが生産される造成干潟に求められる機能として,I浚渫泥からの栄養塩供給,II餌となる高い藻類の生産性を重視した.本研究では貧栄養状態が危惧される浅場において,浚渫泥を活用したアサリ生産性の向上を促進させる干潟材料として石炭灰造粒物(GCA)のI,IIに対する活用法を検討した.アサリの餌となる藻類の増殖場の構築法の開発を目的として,広島湾奥海域において試験干潟を造成し,干潟材料としての浚渫泥の効用を明らかにした.