2020 年 76 巻 2 号 p. I_864-I_868
千葉県夷隅川河口の汽水域に生息するコメツキガニの日周行動を調査した.その結果,6月と7月ではコメツキガニは昼夜を問わず摂餌活動を行うことが確認された.しかし,10月になると,明期では巣外でのコメツキガニの活動が確認されたが,暗期においては巣外でのコメツキガニの活動が確認されなくなった.そして,1月では昼夜を通して,コメツキガニの巣外での活動は不活発となった.また,明期でコメツキガニは生息場所が干出すると速やかに巣の外に出現した.そして,底質内の温度が20℃以上になると昼夜に関わらず巣外で活動するコメツキガニの割合が多くなった.
このように,インターバル機能付き赤外線カメラを用いる手法により,コメツキガニの日周行動とその季節変化を簡易に複数地点での同時観測が可能であることが示された.