2020 年 76 巻 2 号 p. I_91-I_96
堤防や護岸の前面に,越波低減のために消波ブロックによる消波工を設ける事例は多い.越波流量は,主に合田ら(1975)の越波流量算定図を用いて算定されるが,消波工の規模や形状が異なると算定値と大きく異なることが指摘されている.とりわけ消波ブロックが被災することで消波工断面が大きく変形した際の越波流量については,推定が困難といえる.これまで,消波工の断面変形と越波流量を関連付けて検討された例はあるが,堤体天端高が限られた条件での検討であった.そこで,比較的幅広い堤体天端高の条件のもとに一連の水理模型実験を行い,消波工の断面変形に伴う越波特性の変化について検討した.堤体天端高によらず,消波工の天端が静水面付近まで沈下する過程において越波流量は増加する.それ以上に変形が進むと越波流量の増加は抑制される傾向にあり,堤体天端高が高いほど顕著である.