2021 年 77 巻 2 号 p. I_1-I_6
海上工事における施工可否判断を行う際は,比較的波高の低い波に対して正確な波浪予測が求められる.加えて,波高の値自体ではなく,ある閾値を超えるか否かという“閾値超過判定”を正確に行えるかが重要となる.本研究では,低波浪に対する閾値超過判定を高い的中率で実施することを目的とし,機械学習とアンサンブル気象予報データを組み合わせた予測手法を構築した.アンサンブル気象データを入力値としたニューラルネットワーク回帰モデルから6日先までの波高を予測し,得られた波高のアンサンブルデータを用いてベイズ推定を行うことで最適値を得た.その結果,高い精度で閾値超過判定が行えることが分かり,本手法の有用性が確認できた.また,閾値超過判定を直接行う分類モデルを用いた予測手法でも高い的中率が得られることが分かった.