2021 年 77 巻 2 号 p. I_139-I_144
浦戸湾口部に計画されている防波堤周囲の津波による洗掘と堤体の安定性を明らかにするため,大型平面水槽において移動床水理模型実験を行った.この際,レーザー変位計により水を張った状態で地盤高さを精細に計測する新しい測量を導入した.その結果以下のことが明らかとなった.1)発生頻度の高い津波により防波堤堤防部で8mにおよぶ洗掘孔が発生し,マウンドや被覆ブロックは散乱し,ケーソンも滑動した.2)最大クラスの津波では洗掘がさらに激しく,ケーソンは転動して50m以上移動した.3)堤頭部周囲の洗掘は港外表層から港内底層に潜り込む速い流れで発生するものと推定された.