2021 年 77 巻 2 号 p. I_157-I_162
近年,コンテナ船の遅延が大きな問題となっており,船舶大型化に伴うアライアンスの再編によって航路サービスが集約され,特定の港湾・コンテナターミナルへ寄港が集中していることが主要な原因の一つとみられる.
以上の状況を踏まえ,本研究は,世界のコンテナターミナルを対象に,遅延を引き起こす船舶の沖待ちを把握し,沖待ち時間に及ぼす影響を分析したものである.各船の沖待ち時間は,AISデータを利用して,船舶の入港から着岸までの時間に着目して算定した.算定結果により,各ターミナルの沖待ち時間は,バース占有率の上昇に従い急激に増加する傾向があることに加え,着岸船の到着遅延,荷役時間の長期化やターミナルのスケジュール特性が大きく関わっていることが明らかになった.