2021 年 77 巻 2 号 p. I_193-I_198
新型コロナウイルス感染症は,2020年初頭から世界で蔓延し,世界の経済と海運に対して多大な影響を与えた.本稿は,このパンデミックを踏まえ,今後の我が国行政機関の港湾政策立案や,海運業界の対応策検討等に資する基礎的情報を取りまとめるため,PIERSやLloyd's等の海事データを用いて,コロナウイルスの海運への影響を定量的に把握するものである.
分析の結果,アジア各国の対米輸出コンテナ貨物量が生産,消費活動に影響されて大きく変化したこと,その要因は主に家具等の製品の需要増加であること,日本国内の港湾において積み替えられる貨物量が増加したこと,各国の港湾におけるクルーズ船と自動車専用船の寄港回数が大幅に減少したこと等の傾向が把握された.