2021 年 77 巻 2 号 p. I_247-I_252
捨石堤の施工現場では,高波浪によって捨石堤が被災することが問題となっている.捨石堤の被災について検討する手法として水理模型実験と数値解析が考えられる.数値解析では個別要素法や粒子法が一般的に思いつくが,それらの手法は計算負荷が大きい.施工現場では,一刻も早い被災程度予測が求められる.著者らは,捨石堤の被災過程が移流拡散現象に近いことに着目した.本研究では,一次元移流拡散方程式を差分法により解くことで簡易的に捨石堤の被災過程を再現することを目指した.
過去の実験データを元に移流速度Cと拡散係数νをチューニングした.その結果,天端高の低下は拡散係数νの設定,岸側への変形については移流速度Cの設定で再現できた.本手法は全く新しいもので課題は残っているが,非常に簡易的であることから将来的には3次元への拡張も期待できる.