2021 年 77 巻 2 号 p. I_25-I_30
津波により沿岸部に発生する被害拡大の要因として,津波による流体力だけでなく瓦礫やコンテナ等の津波漂流物によるものも大きい.一方で,津波漂流物による構造物に対する衝突力の数値計算は行われているが,津波漂流物の漂流軌道の数値計算による評価は少ない.本研究では実験スケールにおけるエプロン上のコンテナ漂流挙動の計算を行い,既往研究における水理実験と比較して,DualSPHysicsによるダムブレイク型実験の波高・流速の再現度と津波漂流物の軌道解析に関する有用性について検証した.結果として,実験スケールにおける波高と流速は高精度に再現できていた.次に,コンテナの漂流傾向は,最大縦方向変位は過小評価傾向であったが,漂流距離の傾向と拡散角度は良好な再現性があり,DualSPHysicsを用いたコンテナ漂流軌道解析はこれらの制約のもと可能であることが確かめられた.