2021 年 77 巻 2 号 p. I_31-I_36
近年のGPUなどのコンピュータの処理能力の向上に伴い,数値モデルを実現象の解明に適用する研究事例が増えてきており,海岸構造物の設計にも適用されつつある.SPH法に基づくオープンソース流体解析コードDualSPHysicsは,GPU解析が可能である点から海岸構造物の設計への適用が期待される.本研究では,陸上構造物に作用する津波波圧評価に対するDualSPHysicsの適用性を検証した.また,計算精度・計算コストについて,OpenFOAMによる解析結果と比較した.両数値モデルで津波波圧評価への適用性が示された.特に,DualSPHysicsで境界条件mDBCを用いると低解像度でも実験結果と良好に対応した.OpenFOAMの方が計算コストは大きいが,衝撃波圧を除くと精度良く評価することができた.計算コストを考慮すると,陸上構造物に作用する津波波圧評価にはDualSPHysics + mDBCの適用性が高いといえる.