2021 年 77 巻 2 号 p. I_283-I_288
港湾の管理者・利用者は台風接近の遅くとも3日前には防災行動を開始する必要があるが,その段階で高潮を予測できるのは独自の予測システムを持っている人に限られる.そこで,予測システムや専門知識がなくても高潮偏差の概略値を推定できる図表(高潮早見図)を試作した.それは,様々な台風のコース,中心気圧,進行速度に対する高潮計算を実施し,その結果を大阪湾の港湾ごとに整理したものである.平成30年台風第21号を例に,気象庁の台風進路予報を用いて観測値に近い値を推定できることも確認した.このように,高潮早見図は,3日以上前に防災行動を適切に開始する判断に有効なツールとなり得る.