2021 年 77 巻 2 号 p. I_361-I_366
洋上風力発電におけるモノパイル基礎において,普及が進む欧州では石を用いた洗掘防止工が最も一般的に用いられる.砂地盤の吸出しを防止するための砕石によるフィルター層の上に,フィルター層の飛散を防止するための大き目の石を用いたアーマー層を設置する構造が使われる.我が国においては特にアーマー層について良質な石の入手が難しく,アーマー層にフィルターユニット(FU)を用いる洗掘防止工を提案する.本研究では,移動床を用いた水理模型実験により,高波浪時の安定性の確認と洗掘防止工設置の平面的範囲を変化させた場合の検討を行った.FUを用いた洗掘防止工は,洗掘防止工全体の沈降や周辺洗掘の顕著な発生などが見られず,良好な機能を示した.検討した条件下ではFU設置範囲をモノパイル径の3倍の範囲まで縮小しても洗掘防止の機能に大きな低下は見られないことが分かった.