2021 年 77 巻 2 号 p. I_439-I_444
浚渫土砂の有効利用技術であるカルシア改質土は,施工時のカルシア改質材混合直後のフレッシュな状態において,粘性が増大して流動性が低下する特徴を有する.この特徴から,カルシア改質土は潜堤等の勾配を有する海中構造物に適用が可能な技術となっている.今回,少数の研究事例で得られていたカルシア改質土の法面勾配形成技術について,実務における施工検討へ展開することを目的に,流動解析の活用検討を行った.その結果,フレッシュなカルシア改質土の流動性はフレッシュなコンクリートと同様にビンガムモデルとして表現でき,その降伏値はスランプ値から求めることが可能であることを明らかとした.また,その値を用いることで実施工試験の形成勾配の結果をシミュレートできることを示した.施工事例検討では,カルシア改質土の流動性を制御することで,消波ブロック等の空隙充填材への適用の可能性についても示した.