2021 年 77 巻 2 号 p. I_433-I_438
昨今,国土強靭化の重要性が認識される中,港湾構造物等に粘り強さを持たせるための検討が種々行われている.その中で,筆者らはカルシア改質土に粘り強さを付加する配合設計を提案している.本研究では,提案する粘り強いカルシア改質土(製鋼スラグ混合土)を裏込めとして利用した矢板式岸壁の模型振動実験を実施し,同程度の一軸圧縮強さを有するセメント改良土との挙動特性の比較を行った.その結果,加振後の矢板の水平変位や曲げモーメントは製鋼スラグ混合土を用いたケースの方が小さいことがわかった.この傾向は,セメント改良土では変形に伴い改良体に発生したクラックが貫通する一方で,製鋼スラグ混合土ではクラックの貫通が生じないことに起因する可能性が示された.