2021 年 77 巻 2 号 p. I_529-I_534
近年日本で進められている,国土強靭化に対応した防災・減災対策構造物の一つとして,海底設置型フラップゲート式可動防波堤が開発されてきた.この防波堤の初号機の施工では,コンクリートを長距離かつ複雑な配管で圧送し,水中の閉塞された空間内に充塡する計画であったが,類似条件下でのコンクリートの流動性および充塡性の知見は少ない.また,実施工におけるコンクリートの性状を事前に把握するためには,実大規模の試験が有効となるが,その実施には費用と期間を要する.本研究では,長距離圧送試験を行い,圧送性の確認を行うとともに,水中へ圧送されたコンクリートの流動性および充塡性を確認した.さらに,今後の実大規模の試験の簡略化を目的に,コンクリートの流動解析を行った結果,水中へ圧送されたコンクリートの流動性および充塡性を精度良く再現できることを確認した.