2021 年 77 巻 2 号 p. I_661-I_666
本研究は小型起振器を用いることから制約を受ける共振実験においてマウンド式防波堤の振動特性を把握するための信号処理手順について検討したものである.まず基礎部の欠損が防波堤システムの固有振動特性に与える影響を考察し,基礎部の欠損はばね-マス系のばねが低減することに相当することを示した.その上で,海洋による波動の影響を常時受ける環境下の複数のサイトにおいて,小型起振器を用いた共振実験の応答信号と常時微動観測記録との比較に基づき,起振器実験から得られる観測信号の信号処理の合理的な方法について検討した.その結果,海洋波動によると思われるノイズの除去を行うことで共振曲線の改善を図ることができた.さらに打ち継ぎ面がある場合について防波堤システムの固有振動数評価に与える影響も議論した.