2021 年 77 巻 2 号 p. I_679-I_684
令和2年7月豪雨の影響により球磨川流域で発生した広範囲かつ同時多発的な土砂災害によって,球磨川に土砂や流木が流れ込んだ.この影響で球磨川河口から大量の土砂や流木が八代海に流出した.このような海洋漂流物は,航行する船舶に影響を与えるだけではなく,養殖産業や観光業にも波及するため,迅速な除去作業を行う必要がある.本研究では,観測後にフリーに入手が可能な時系列なCバンドの特性を有するSentinel-1衛星データを用いて八代海に流出した海洋漂流物の判読調査と抽出について検討した.加えて,異なる観測条件のSAR衛星画像を用いることで海洋漂流物の抽出のための適当な入射角や偏波が検討された.この結果,災害時における海洋漂流物の判読や抽出について有効に活用されることが考察された.