2021 年 77 巻 2 号 p. I_673-I_678
茨城県波崎海岸に位置する波崎海洋研究施設において,平均汀線位置から陸側に114m,平均海面上11.6mにて波浪音の観測を行い,この音圧レベルを用いた有義波高の推定を試みた.解析には2020年10月20日から11月17日に計測した各種1時間毎の平均値を使用した.始めに,騒音計を用いて推定を行った結果,既往研究と同様に概ねよく推定できることが確認された(R2 = 0.51).次に,安価かつ容易な方法としてICレコーダでの波高推定を行った.ICレコーダによる音圧レベル,相対偏差等を用いて推定を試みたが,R2 = 0.15に留まる結果となった.そこで,計測された過去1.5日分の音圧レベルと有義波高から波高の推定式を導き,その後の12時間をこの推定式で求める方法を実施した.その結果,やや時間遅れが生じてしまうものの精度よく推定できることがわかった(R2 = 0.64).