2021 年 77 巻 2 号 p. I_943-I_948
斜面スリット型透過式ケーソン(S-VHS工法)は静穏海域の創出,背後地の浸水防止,砂浜の海岸侵食防止を目的とした有脚式離岸堤である.本工法のRC函体製作時の課題として,現場施工の煩雑化,マスコンクリートによる温度ひび割れの懸念等が挙げられる.これらの課題に対し,現場施工の省力化,生産性向上,およびコンクリートの品質向上を図るため,函体をPCa部材に分割して工場製作し,現場搬入後に接合し一体化するPCa型S-VHS工法を提案している.工場製作したPCa部材同士は機械式継手で接合されるが,現場打設による従来工法と比較して,接合部の剛性低下や目地開きによる鉄筋腐食等が懸念される.そこで,本検討では接合部を有するPCa部材を対象とした載荷実験およびFEM解析を行い,PCa型S-VHS工法における機械式継手の適用性を確認した.