土木学会論文集B3(海洋開発)
Online ISSN : 2185-4688
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海洋開発論文集 Vol.38
高波浪時における堤防近傍の地形変化の三次元性について
田方 俊輔泉 典洋
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2022 年 78 巻 2 号 p. I_109-I_114

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抄録

 堤防前面における高波浪時の地形変化を詳細に理解するため,静岡県駿河海岸において複数台の観測機器により観測した令和元年東日本台風時の局所的に三次元的な挙動を示す地形変化について検討した.高波浪の継続に伴い,観測地点の地形勾配は岸沖方向で急勾配化し,最も波が高くなる時間帯で一気に緩勾配化することが確認された.この時の沖波と地形勾配の関係から,既往の平衡勾配の経験式と最終的に形成された地形勾配が一致することを確認した.また,沿岸方向の地形変化では,高波浪の初期では一様に砂面が低下するが,波高が大きくなる時間帯では沿岸方向に勾配をもって砂面低下が進行することを確認した.この際の時空間画像解析から,高波浪による海岸植生の流出をきっかけに沿岸方向の流れが卓越し,三次元的な地形変化が進行したことを示した.

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