2022 年 78 巻 2 号 p. I_133-I_138
本研究は,Cross-Shore Numerical Modelによる海底の縦断面形状の算定と深浅測量の結果に基づいて,千里浜海岸の漂砂動向を考究するものである.年に1回の頻度で実施されている深浅測量による同海岸の縦断形状の特徴は,2段と3段の多段砂州が形成されることにあり,時間の経過に伴い砂州は出現し消失する.海底の縦断形状は,水深7m以浅において有意な変化が発生し,活発な漂砂移動は同水深域で生じていると考えられる.2007年の深浅測量値を初期条件としてCross-Shore Numerical Modelにより算定した1年後の縦断地形は,同時期の深線測量値と概ね一致し,砂州の形状変化を再現できた.沿岸漂砂は,滝崎から金沢港へと向かう南方向であり,砂州の頂部と入射波の砕波後の汀線付近の領域で顕著となる傾向を示した.