2022 年 78 巻 2 号 p. I_139-I_144
干潟上に広く存在する砂漣は,その大きさがセンチメートル・スケールであり,干潟の空間スケールに対して非常に小さい.しかし,土砂移動を伴う形状変化や移動は,沿岸域全体の土砂輸送や地形変化に少なからず影響を与えるため,砂漣の変形・移動過程を把握することは非常に重要である.本研究では,波や流れの作用を受ける水中での砂漣を連続撮影し,干潟の海象条件と砂漣の形状を照合することで,砂漣の移動特性を把握した.その結果,砂漣の移動は水深の小さい時間帯に限られており,移動に伴って砂漣の形状が非対称となり,先鋭化することが明らかとなった.砂漣の移動に関しては,瞬間的に発生する強い流れが,砂漣の移動に大きく影響している可能性が示された.また,現地の波浪条件や水深,底質粒径から,砂漣の移動の有無を推定できる可能性が示された.