2022 年 78 巻 2 号 p. I_151-I_156
国土交通省港湾局では,港湾工事において建設現場における生産性の向上等を目指すi-Constructionを推進するための取組みを進めてきた.港湾分野で先行的に進められて来たICT浚渫工では,マルチビーム測深を活用するが課題もある.マルチビーム測深は,従来方式に比べ膨大な点群データを短時間に取得可能であるが,気泡等による音波の反射等により実際の海底の水深と異なる値であるノイズも計測される.ノイズ処理の大半は,時間と手間を要する手動処理であり生産性向上の隘路となっている.
そのため,ノイズを効率的に処理する深層学習モデルを開発し,実際のICT浚渫工におけるマルチビーム測深データを対象に適用性を検証した.検証の結果,深層学習モデルによるノイズ処理は一定の精度が達成されるとともに,主に手動処理による従来手法に比べ時間短縮も期待されるものとなった.