2022 年 78 巻 2 号 p. I_25-I_30
浅海域において,藻場が衰退・消失状態となる「磯焼け」が大きな問題となっている.本研究では,磯焼けの複数要因に対応するため,着定基質の素材と形状を工夫し,実海域において検証実験を行った.また,試験ブロックに繁茂した海藻類のCO2吸収ポテンシャルを推算した.この結果,アミノ酸を混和した方形状の試験ブロックでは,既設のブロックや大割石よりもホソメコンブをはじめとする海藻類が繁茂し,アミノ酸を混和したプレート状の試験ブロックでは,海藻類の継続的な繁茂と多様な生物相の形成が確認された.CO2吸収ポテンシャルについては,方形状の試験ブロックでは7.995t-CO2/ha/年,プレート状の試験ブロックでは,最大1.125t-CO2/ha/年と推算された.今後は,継続調査によるデータの追加補正や特性の異なる技術を単独あるいは組み合わせた場合の効果検証が必要である.